在日外国人の実情に即した対応を ―― 前参議院議員 後藤博子

日本人の「外国人」に対する偏った見方

私はブラジル移住経験を踏まえて、外国人労働者問題協議会の顧問を務めさせていただいており、議員活動の中でも、ブラジルを始めとした諸外国の大使、外交官や一般の皆様との意見交換、交流を深めて参りました。

そうした中で、マスコミに代表される外国人に関る一般的な情報には、日本人独自の近視眼的見方が根底にあり、外国人の立場、権利に対する捉え方が偏り、全てが正しく理解されているとは思えません。


前参議院議員 後藤博子
外国人の実状は理解されていません。

外国人登録者数は平成17年に初めて、200万人を突破しました。中でも日系ブラジル人は30万人を超えています。日本における外国人労働者は、今は不況下でやや減少気味ですが、今後ますます少子高齢化が進む中、外国人抜きで国民の経済を成り立たせることは難しいと考えます。現に政界や経済界からは外国人を積極的に受け入れようとの主張もあり、需要は高まるものと予想されます。

先日来、外国人登録制度の強化や、入国ビザ更新について規制を強化する動きがでており、「外国人登録法」と「出入国管理法」の改正の動きもありその中で、外国人の立場から見れば理解できないルール、ガイドラインが設定されようとしています。

これらに対しては、日本在住の外国人の皆様から強い反発の声が挙がっておりますし、諸外国政府からも、批判や抗議が寄せられることも予想されます。

現在の政府の論議や対応は、外国人の犯罪の増加を踏まえた治安対策の色合いが濃く、自治体運営サイドの都合が主流で、外国人の生活・勤労実態や雇用企業の経営環境等の現実と法制度等とのギャップについては、全く意識されておりません。

こうした視点を欠いたままでは、外国人関連の問題はさらに悪化する恐れがあります。


諸制度見直しのポイント

以前にも上記のような問題を含め当面の重要な課題として、下記の主なテーマにつき関係省庁に対応を強く訴えた経緯があります。

  • 労働法等の現行法の問題を請負制度の実態に即して見直すこと
  • 社会保険加入の強制はせず、任意加入とすること
    (外国人には他に様々な民間の健康保険があり、社会保障負担の削減にもなる) 
  • 子弟の教育問題の具体策と今後の家族の同行の可否の論議
  • 定住化と老後の問題(本当の定住者を見極める必要性)
  • 雇用の安定化と経営環境整備の問題(外国人雇用企業の立場の整備)

このような問題点に対し、雇用企業からの見方、外国人の考え方、資質の問題などに、現場、現状、実態をふまえた上で、日本の将来を見据えた実践的な対応が必要です。


社会保険加入の強制を緩和

今、派遣切り等で職をなくした日系ブラジル人の中では労働争議が多発し、その要求の中には社会保険加入を求めるものもありますが、多くが社保に対する理解が不十分であろうと思われます。社保は永住をしない者、短期間しか在住しない者にとっては高額な負担となり、社保の強制加入だけが正しい方法とは思えません。外国人本人の負担の軽減や企業のコスト削減も視野に置き、実情に即した適切なルール作りが必要です。